2019.07.03
老後2000万円 のはなし 第二回 基本的な視点及び考え方
というわけで、老後2000万円 問題の続き。
老後はだいたい毎月5万円、足が出るってさ。
金融審議会が発表した市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を解説する第二回目です。
初回は長寿化と長引くデフレ不況、ついでに家族のありようの変化が戦後設計された老後資産成形プランと沿わなくなってきているという話。
第二回目は、それを個々人がどう認識すべきかということに重点が置かれています。
1長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要
ここだけポイント!長寿化と、ライフスタイルによって老後に必要な資産は大きく変わるよ。でも資産形成は認識しようね。
- 65歳以上の夫婦「のみ」の「無職」世帯だと、年金だけだと毎月5万円不足する。
- 各々の収入やライフスタイル、都市部在住か地方かなどなどさまざまな要因で大きく変わるのであくまで参考。
- ただし、寿命は伸びる一方なのでより多くお金が必要なのは必須。
- 資産成形、管理の重要性を認識することが重要。
2ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々
ここだけポイント!日本の老後は親、子、孫の三世代同居を基本に設計されていたけど、もうあてはまらないよ。各々で把握が必要だね。
- 核家族、単身世帯の割合が増加し、三世代同居のほうが少数派に。
- 大学卒業、結婚出産、住宅保有、定年というライフプランにあてはまらない場合が多くなってきた。
- 各々のライフプランを想定し収支や資産を見える化して対応していくことが必要。
3公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク
ここだけポイント!年金はそれだけで生活できる設計にはなっていないので、資産形成などで自分で補助する必要があるよ。
- 高齢化と共に少子化もすでに避けては通れない未来。
- 単身世帯の増加と未婚率も上昇。
- 年金制度は現役世代によって支えられているため、給付水準が今までと同等とは限らない。
- 資産形成などの自助が必要になる。
※年金は生涯給付が大きなポイント。現役世代が減ることと長寿命化が戦後の平均寿命60歳前後だったころの年金設計とそぐわなくなっている。
そのねじれを少しでも解消しようというのが、アクティブ運用への舵取り変化。
4認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる
ここだけポイント!ボケてからでは遅いので早めに手を打とう。
- 他国と比べても、日本の60代高齢者は体力知力共に元気。
- しかし長寿化によって、認知症は例外的存在ではなくなると考えられる。
- 本人の意思能力が不十分であると判断されると、預貯金の凍結、保有資産が売却できない、土地の売買が不可能になど制限が。
- 事前の備えや適切な対応の重要度が増していく。
まとめ
以上が、金融審議会市場ワーキンググループの「高齢社会における資産形成・管理」報告書の第二章、基本的な視点及び考え方の内容です。
金融庁の内部団体らしく、基本的には金融資産を投資に廻して老後に備えましょう、判断能力を喪失して成年後見制度などがついた場合著しい制限をうけるので、その前に対応しましょうという内容に徹していますね。
昭和的価値観とそぐわないライフスタイルが浸透して、当時の制度設計とそぐわなくなってきたのも一因でしょう。
次の第三章では、それではどうすればよいのか具体的な制度の紹介と共に現行制度をさらに拡充するよう各省庁にまで呼びかける突っ込んだ内容となっています。
ツジデザイン一級建築士事務所