2025.12.22
Column 建築費高騰のいま、設計者の役割とは何か

建築費高騰時代が続いている
建築費の高騰が、いまだ止まる気配を見せません。
これまでと同じグレードで住宅を設計すると、坪単価100万円を超えることも珍しくない時代になってきました。
建築物価の上昇だけでなく、人材不足も大きな要因です。
「建てたい時に、すぐ職人さんが確保できる」
そんな状況は、すでに過去のものになりつつあります。
この傾向は、今後さらに加速していくと考えられます。
いま、設計者にできること
こうした背景を前提に、それでも住宅設計の専門家が存在する意義を、あらためて考える必要があると感じています。
材料を安価なものに替える、設備のグレードを下げる。
それも確かに一つの手段です。
しかし同時に、
住宅建築の本質に立ち返った設計プロセスを考え、提案していくことが、これからの設計者には求められているのではないでしょうか。
1. ライフサイクルコストで考える住宅設計
住宅の機能的な寿命は、家電や車と比べると非常に長いものです。
初期にかかる建設コスト(イニシャル)と、
住み続ける中で発生するコスト(ランニング)。
この二つの比率は、今後さらに拮抗していくと考えられます。
断熱性能の向上や、将来のメンテナンスを見据えた設計は、
トータルで見るとコスト削減につながる可能性があります。
2. 機能と面積の最適化
「本当に、この面積が必要なのか」
いま一度、見直す時期に来ているのかもしれません。
-
過大な収納スペース
-
利用頻度が極端に低い客室
こうした部分を、優先順位に応じて整理することで、
建築コストを抑える設計は可能です。
また設備についても、
「便利そうだから付けた機能」が、本当に必要かどうか。
再検討する余地は大きいでしょう。
断熱設計も同様です。
窓を減らし、建物形状をシンプルにすれば外皮面積は小さくなり、断熱性能は向上します。
断熱材を増やせば性能は上がりますが、地域特性に応じた適切な水準を、数値で確認していくことが重要です。
コストを下げることだけに注力し、快適性を損ねてしまっては本末転倒です。
数値化しにくい「住み心地」とのバランスを探ることも、設計者の大切な役割だと考えています。
3. 「建てない」という選択肢も視野に
新築住宅だけが、住まいの答えではありません。
-
中古住宅の購入
-
マンションのリノベーション
-
実家など既存ストックの活用
中古住宅は面積が大きいケースも多く、
必要な部屋だけを改修する部分リノベーションも有効です。
また、維持管理費や耐震性を考慮し、
2階や一部を解体して面積を減らす**「減築」**という選択も、今後は現実的になっていくでしょう。
4. これからの時代、資金計画はより重要に
建築費高騰の時代において、
資金計画の重要性は、これまで以上に高まっています。
「なんとなく3,000万円」から脱却し、
無理のない返済計画を含めた、現実的な予算設定が必要です。
今後は、お金の専門家に早い段階から入ってもらうことも、強くおすすめします。
また、補助金などの国や自治体の制度は、
知っているかどうかで大きな差が生まれます。
こちらも専門家の知見を活用すべき分野です。
住まい方そのものに、発想の転換を
これまでと同じ考え方で住宅をつくることが、
難しくなってきている時代です。
建築費高騰は、しばらく続くでしょう。
私たち設計者も、
技術者として、そして法律を扱う専門家として、
研鑽を続ける必要があります。
同時に、より柔軟な提案ができるよう、変化も求められています。
そして住み手の側にも、
新築一辺倒ではなく、賃貸・建売・中古リノベーションなどへ
視野を広げる発想の転換が求められていくのではないでしょうか。
その中で、なお必要とされる設計者であるために、
これからも学び続けていきたいと思います。
住宅を中心に、建築の設計監理を行っております。新築、リノベーション、テナントに限らずお気軽にご相談ください。愛知、岐阜、三重を中心に、全国どちらでも対応いたします。フラット35や長期優良住宅、ZEH取得のためのBELS取得にも対応しております。
新築、リノベーション、テナントに限らずお気軽にご相談ください。
愛知、岐阜、三重を中心に、全国どちらでも対応可能です。
フラット35S、長期優良住宅、ZEHなども。

















