2022.10.20
チ。―地球の運動について―
岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
所長が読んだ本をご紹介。自然科学などのノンフィクションが中心。
チ。―地球の運動について― /魚豊
好奇心は猫をも殺す。好奇心が強すぎると身を滅ぼすこともあるという、古いことわざだそうで。
しかし、それでも好奇心を止められない人間は歴史のそこここに実在した。
このコミックは、中世欧州において「地動説」を信じた人々の生き様を描く。
中世キリスト教世界において(作中においてはC教という架空の宗教となっているが)聖書を否定することは大罪だった。
当然、宇宙の中心は地球で太陽やほかの星々はその周辺を円軌道で回っている。ただ、いくつかの変則な動きをする星を除いては…。
その星は空を進んだかと思えば、ある日突然逆に動き出す。
惑わす星となづけられたそれら惑星の動きをなんとか解明しようと試みるうち、ある真実に辿り着く。
しかし、その真実は聖書に反するもので…。
登場人物はフィクションだが、託されたあるものを連綿とつないでいく意思、打ち砕かれても打ち砕かれても進む信念。
そうしたものに心を揺さぶられる、傑作に仕上がっていると思う。
日曜の夜、地球が回ってなかったら月曜こねーのになとぼんやり考えるあなたへの一冊。