2024.03.02
Column 建築費高騰の今出来ること
建築費高騰時代
建築費の高騰が止まる気配を見せません。
これまでと同じグレードで設計すれば、100万円/坪をゆうに超える時代になってきました。
建築物価の上昇だけではく、人材不足も大きな要因です。
以前のように、建てたい時にすぐに人が確保できるとは限らなくなってきました。今後、さらにそうした状況は加速してくと思われます。
いま、僕たち設計にできること
そうした背景を前提に、それでも住宅設計の専門家が存在する意義を考えていかないといけないと思っています。
材料を安価なものに換える、設備のグレードを下げる、そうしたことも確かに必要でしょう。
しかし同時にもっと住宅建築という本質に焦点を当てた設計プロセスを考え、提案していく必要があると感じています。
1.ライフサイクルコストで考える
- 住宅の機能的な寿命は家電製品や車などと比較するとかなりの長い期間にわたります。
- 最初にかかる建設コスト(イニシャル)と使っている間にかかるコスト(ランニング)の比率は近づいて行くと思われる。
- ランニングコストが下がる断熱性やメンテナンス性の確保はトータルでコストを下げる方向になるのではないかと考えます。
2.機能の最適化
- 本当に必要な面積はどれくらいなのか、再考する時期にきているのかもしれません。
- 過大な収納スペース、利用頻度が極端に低い客室など、プライオリティに準じて面積を減らす設計へ転換していく。
- 設備機器の最適化。過剰な便利機能、本当に必要か再度見極める必要があるでしょう。
- 適切な断熱設計。窓を少なくし、建物を四角にすれば外皮面積が減るので断熱性は上がります。断熱材を増やせばさらに性能はあがりますが、お住まいの地域でどこまで必要か、数字で確認していきます。
- コストを下げることだけに腐心して、快適性を損ねては本末転倒です。数字に現れにくい快適性とのバランスを探っていく必要があると思います。
3.建てない選択肢も
- 中古住宅、マンションのリノベーション、実家など、既存ストックの利用。
- 中古住宅は面積が大きいことがおおいので、必要な部屋のみを改修する部分改修もあり。
- メンテナンス費や耐震性を考えると、2階や一部の部屋を解体し面積を減らす「減築」も視野に。
4.資金計画の重要性
- これまで以上に、資金計画の重要性が増すと思われます。
- 「なんとなく3000万円」から脱却し、適切な予算の確保と同時に、無理のない返済計画を立てるのが重要。
- これからはお金の専門家に入ってもらうことを推奨します。
- 補助金など、政府からの若年層への優遇策を十分に活用する。こちらも知識が必要となるので、専門家に相談を。
住まい方に発想の転換を
上記のように、これまでと同じように住宅を作っていくのが困難な時代。
我々設計も、技術者としてそして法律家としての研鑽を続けていく必要性がまします。同時に柔軟な提案ができるよう変化が求められるでしょう。
そして、住み手のほうにも発想の転換が求められていくことになるでしょう。これまでの新築住宅志向から、賃貸、建売、中古リノベへと目を向ける必要性も。
その中でも我々設計者が必要とされるために、さらに勉強を続けたいと思います。
住宅を中心に、建築の設計監理を行っております。新築、リノベーション、テナントに限らずお気軽にご相談ください。愛知、岐阜、三重を中心に、全国どちらでも対応いたします。フラット35や長期優良住宅、ZEH取得のためのBELS取得にも対応しております。
新築、リノベーション、テナントに限らずお気軽にご相談ください。
愛知、岐阜、三重を中心に、全国どちらでも対応可能です。
フラット35S、長期優良住宅、ZEHなども。