2022.06.18
知ってるつもり 無知の科学

岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
最近読んで気になった本をメモ的にまとめています。
今回はこちら「知ってるつもり 無知の科学」 /スティーブン・スローマン&フィリップ・ファーンバック
認知科学の本。
人は本当のところ、どれだけ理解しているのだろうか。
蛇口をひねると水が出る。なぜ?パスカルの原理?では取水場から水の浄化、水道管の整備から各戸への圧力分配を説明できる?
自転車を漕げば倒れない、なぜ?ジャイロ効果?ではジャイロ効果について説明できる?
そんなことを知らなくても人は水道を使えるし、自転車にも乗れる。
本書は、そんな人の「知ってるつもり」を科学する、認知科学についての本。
人は自分達が思っているよりも、ずっと何も知らない。自分の周辺で起こるスケールのことを認知できるのが精一杯だし、何もかもに精通するなどそもそも不可能だと。
それでも人類社会はうまく回っていくのは何故か。手のひらサイズの板はかつでのスパコン以上の性能を持ち、ロケットで(富豪であれば)宇宙旅行にも行けるようにさえなった。
その理由が、コミュニティ全体での知識の共有だという。
コミュニティでの知識の共有が間違った方向に発揮される例もある。
たとえば、反医学や行きすぎた自然原理主義、これらは科学知識の無理解以上に、所属するコミュニティに強く依存する。
自信の知識とコミュニティの知識はおもっているよりずっと曖昧で、これからの「賢さ」とはコミュニティの知識を引き出せることになるであろうという内容。
認知バイアスについては、さまざまな本でも取り上げられていて、過去にも何冊か紹介しましたがやはりあがらうのはとても難しい。わかっていてもです。
そんな時、折に触れて読み返すことになりそうな本です。
そんなことない、おれは詳しいんだ!と自信満々なあなたへの一冊。