2016.08.17
シリーズ 住宅ローンの基礎知識 その4
岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
第4回 民間住宅ローン、公的住宅ローンとつなぎ融資
目次
- はじめに
- 民間住宅ローン
- 公的住宅ローン
- つなぎ融資
1.はじめに
前回までに、代表的な住宅ローンとしてフラット35とフラット35Sを取り上げました。今回はその他の住宅ローンを解説したいと思います。
2.民間住宅ローン
銀行など、民間企業が取り扱う住宅ローン。現在の主流はこちらですね。
- 銀行等
都市銀行、信用金庫、労働金庫などの金融機関が独自で設計し商品展開している住宅ローン。
借入条件や金利などは各金融機関によって違うので、パンフレットなどでよく確認しましょう。
変動金利型、固定金利期間選択型etc、多くはフラット35も取り扱っている。 - JA
農協。主にJAの組合員向けの住宅ローンです。
JA毎に商品内容が異なるため、パンフレットなどでよく確認しましょう。 - 生命保険会社
大手の生命保険会社が潤沢な資金を活かして住宅ローンを販売しています。
以前は固定金利型が主力商品でしたが、近年商品数を増やしていますので、お取引のある生命保険会社に問い合わせてみても良いでしょう。 - ネット銀行系
ネット銀行系の住宅ローンです。基本的には銀行系住宅ローンに準じますが、借入条件審査が緩めであることが多いようです。
融資実行のタイミングが引き渡し時など、注文住宅の場合には使いにくいこともあるため、HP等で内容をよく理解することが必要です。
3.公的住宅ローン
種類は少ないですが、こうした選択肢もあることは知っておきましょう。
- 財形住宅融資
会社員や公務員を対象とした財形貯蓄を原資とした還元融資です。
一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄のいずれかを一年以上続け、申込日における残高が50万円以上ある人等条件がありますから、自分が対象となりうるか勤務先に確認してください。
また、勤務先が窓口となる事業主転換融資の場合、退職時に借入残高の一括返済を求められるため計画性が必要です。 - 自治体融資
都道府県や市区町村が申し込み窓口となり、域内在住者に対する融資です。
お住まいの地域の市区町村役所へお問い合わせください。
4.つなぎ融資
「つなぎ融資」聞き慣れない言葉ですね。ところが、我々のような設計事務所で設計し、工務店さんに建設してもらう場合などの注文住宅をお考えの場合、大変重要な事柄になります。
通常、住宅ローン契約を行うタイミングは工務店さんとの契約を終えてからとなります。融資実行のタイミングは銀行によってまちまちですが、契約して即融資実行ということは無く、「基礎完工時」、「上棟時」、「竣工引渡し時」などになることが多いのです。
下記の図をは設計開始から完成引き渡しまでの支払いが発生するタイミングと銀行融資のタイミングを図案化したものです。下図では融資実行が竣工引渡し時と仮定しています。
このように、通常支払が必要なタイミングと融資実行のタイミングがずれるため、その間を「つなぎ」で短期間融資を受ける必要があり、そのための融資を「つなぎ融資」と呼びます。
融資実行までの短期間融資のため、抵当権設定はされないことが多いですがその分金利は高めですし、事務手数料もかかってきます。
融資実行までの支払いを自己資金でまかなう場合や、建売住宅のように、完成した物件を購入する場合は必要ありません。
重要なのは、金融機関に住宅ローンの事前相談時に、「注文住宅である」ことを伝え、つなぎ融資が可能であることを確認することです。大手都市銀行の場合、一部にはつなぎ融資に対応していない場合もあるようです。
また、融資実行のタイミングもしっかり確認しておきましょう。
住宅ローンの種類、特につなぎ融資についての解説、いかがでしたでしょうか。
注文住宅を建てる場合、つなぎ融資でつまずく例も時々見受けられます。自己資金でまかなえると金利や事務手数料もかからずベストですが、大きな金額ですから無理なく計画性を持って住宅ローンにのぞみましょう。
(書き手 辻 秀易)