2018.11.22
ホモ・デウス

ユヴァル・ノア・ハラリの新刊。ホモ・デウス上巻とホモ・デウス下巻
サピエンス全史は未読です。
上巻ではざっくり、人類がその発生以来存在を脅かされ続けてきた、戦争と疫病をほぼ克服しつつあること、次の段階として非死をめざすであろうこと、科学と宗教は大変相性が良く今後もお互いを利用しつづけるであろうことを記す。
下巻では、これまで宗教や倫理観、あるいは土地の掟などに縛られていた人類が、各個人の価値に気がつきはじめている現代を、人間至上主義革命と位置づける。
さらに科学のさらなる発達に伴い、知能と意識と生命アルゴリズムは混ざり合い、人類各個人に価値は無くなり集合知やビッグデータに飲み込まれるデータ至上主義へ至ると説く。
なるほど。
著者にかぎらすここ数年、AIが人類の知能を凌駕するシンギュラリティが2040年頃に起きるとする論は多い。例えばザ・セカンドマシン・エイジでは、AIが仕事を奪い、バイオ技術が人類を破滅すると説くし、国内の学者も超AI時代の生存戦略でシンギュラリティに備えろと脅す。
ほんとかなー。
AIを東大合格レベルまで進めることを目指した研究者は、AI vs. 教科書が読めない子どもたちの中でAIは数学で記述できなければならない。AIが心を獲得するには、心を数学的に解決しなければならないが、今の所は検討もつかないと書いている。
僕はいまのところ、こちらの意見のほうがずっと納得が行く。
生命や意識がアルゴリズムであることに異論はないけれど、静物の科学反応並列的処理と、現在のコンピューターとは相性が悪いようにも感じる。
どちらにせよ、著者も最後に書いてるように今のところの技術の延長上での妄想のお話でした。