株式会社ツジデザイン

辻のおはなしTsuji’s Blog

辻のおはなしでは、ツジデザインのプロジェクトの進捗や僕達の価値観にまつわるさまざまなコト、
モノについてとりとめなく書いていく小文です。
また、一般の方にわかりにくい用語の解説や家づくりのあれこれなどの知識も、
わかりやすくまとめていきます。

2025.06.18

古い建物を活用したい!「用途変更」で夢を叶えるために知っておくべきこと

設計のおはなし

古い建物を活用したい!「用途変更」で夢を叶えるために知っておくべきこと

古い建物を自分好みにリノベーションして、新しいお店や施設として生まれ変わらせる──想像するだけでワクワクしますよね。例えば、昔ながらの住宅を素敵なカフェにしたり、シンプルな事務所を個性的な物販店にしたり、コンビニの建物を放課後等デイサービスとして開業したい、工場建築を物販店にしたいetc夢は膨らむばかりです。

でも、ちょっと待ってください! その素敵な計画を進める前に、一つ大切な手続きを忘れてはいけません。それが「建築物の 用途変更 」です。

そもそも、建築基準法ってなに?

私たちの身の回りにある建物はすべて、建築基準法という法律に基づいて建てられています。この法律は、建物の安全性や健康、防災など、私たちが安心して暮らせるためのルールを定めています。そして、建物一つひとつに「この建物は何のために使うのか」という「用途」が定められているんです。その用途を別の用途へ変更するための手続きを「用途変更」と呼びます。

キーワードは「特殊建築物」と「200㎡」

では、どんな時に「 用途変更 」の手続きが必要になるのでしょうか? カギとなるのは、以下の2つのポイントです。

  1. 「特殊建築物」への 用途変更  飲食店、児童福祉施設、など、不特定多数の人が利用する建物は「特殊建築物」と呼ばれ、特に厳しい安全基準が求められます。もし、現在利用している建物からこれらの特殊建築物へと用途変更する場合は、手続きが必要です。

  2. 床面積200㎡がボーダーライン 用途変更 後の特殊建築物の部分が合計200㎡を超える場合も、手続きが必要になります。逆を言えば、200㎡を超えない場合は用途変更は不要となります。
    また、200㎡以上であっても、カフェから定食屋さんのように「類似の用途」への変更の場合も不要となります。

用途変更の手続きって、どんなもの?

確認申請が必要な場合、建物の構造や設備、避難経路などが、新しい用途の安全基準に適合しているかを専門家がチェックしたうえで、指定確認検査機関へ申請します。この確認が済んで「確認済証」が交付されることで、初めてその用途で建物を使うことができるようになります。

用途変更が不要でも「事前の調査」がカギ!

「うちの建物は200㎡以下だから、申請はいらないな」と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、たとえ確認申請が不要な場合でも、新しい用途で建物を使い始める前に「遵法性調査」を行うことを強くおすすめします。

なぜなら、この調査を怠ると、思わぬ落とし穴にはまる可能性があるからです。

  • 不動産売買でトラブルに? 後から法律に違反していることが発覚し、売買契約がスムーズに進まないことがあります。
  • 利用者に危険が及ぶ可能性も 用途が変われば、必要とされる空調、避難経路、火災対策などの安全基準も変わります。適切な対策がなければ、利用者の方に危険が及ぶことも。
  • 最悪の場合、法律違反に! 法律を守らず使い続けると、罰則を受けたり、場合によっては建物の取り壊しを求められたりする可能性もあります。
  • 火災保険などが適用外に? 用途が変わったことを保険会社に伝えていないと、万が一の災害時に保険が下りないケースも考えられます。

専門家への相談を!

既存の建物を新しい用途で活用する夢を叶えるためには、こうしたリスクを事前に把握し、対策を講じることが何よりも大切です。

「遵法性調査」は、その建物が現在の法律に適合しているかを専門家が確認してくれる調査です。これを受けておくことで、安心して計画を進められますし、将来的なトラブルも防げます。

せっかくの素晴らしい計画を無駄にしないためにも、まずは専門家へ相談し、建物と計画が法律に適合しているかをしっかりと確認しましょう。それが、あなたの夢の実現への第一歩です。

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