2017.01.07
シリーズ 住宅ローンの基礎知識 その6
岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
第6回 金利各局面における有利不利、返済方法の解説
目次
- はじめに
- 金利の局面に対する、各金利タイプの有利不利
- 元利均等返済
- 元金均等返済
- ボーナス併用返済のリスク
1.はじめに
前回、固定金利〜変動金利までの各金利タイプの概要を説明しました。
今回は、金利の局面に応じた金利タイプの有利不利と、返済方法による有利不利を解説します。
2.金利の局面に対する、各金利タイプの有利不利
- 金利の上昇が見込まれる場合は、原則的に固定金利型、あるいは長期の固定金利期間選択型が有利となります。
低金利時代に借りた住宅ローンも、金利の低いまま返済を続けていけるため、総支払額も変動金利型より安くなる場合があります。
金利の上昇を感知してから、借り換えなどの対策をしようとしても既に金利が上がっているなど、対策のしづらさもあります。 - 金利上昇局面とは逆に、固定金利型や長期の固定金利期間選択型は不利になる可能性があります。
変動金利型や短期の固定金利期間選択型は、金利下降の恩恵を受けやすくまた、上昇局面には金利固定などの対策も立てやすい。
このように、それぞれの局面によって、各金利タイプ毎のメリットやデメリットもはっきりしてきます。
今後の金利の動きを予測することは不可能なので、経済の動きを国債や株価の変動から掴んでおくと、余裕を持って対策ができるかもしれませんね。
3.元利均等返済
住宅ローンを借りた場合、返済額は(元金+利息)の組み合わせで決定されます。
このうち、元利均等返済は毎月返済額が一定で、返済計画が立てやすいという特徴をもちます。
ただし、返済額のうち元金と利息の内訳が、当初は利息が多く、元金が減っていかないという設計になっているため、長期間支払いを続けても思ったほど元金が減っていかないということもあります。元金の減りが緩やかなため、支払総額も多くなりがちです。
- メリットとしては、返済額が一定で返済計画がたてやすい。
- 当初の返済負担が軽い(元金均等返済に比べて)
- デメリットとして、総返済額が多くなる。
- 元金の減りが緩やかなため、借入残高の減りが遅い。
4.元金均等返済
元金均等返済は、毎月一定の元金に利息額を上乗せして支払う方法です。
- メリット、元金の減りが早く、将来負担が軽くなる。
- メリット、同じ返済期間であれば、元利均等返済と比べ支払総額が少なくなる。
- デメリット、当初の返済額が大きくなる。
- デメリット、借入可能額が少なくなりがち。
- デメリット、取扱金融機関が少ない。
5.ボーナス併用返済のリスク
住宅ローン返済に、ボーナス併用を利用する場合、将来のライフプランも考えて利用することが大切です。
ボーナスは景気動向や会社の業績に大きく左右されるため、特に収入に対するボーナスの割合が大きいほど慎重に検討が必要です。
各返済方法のメリット、デメリットはご理解いただけましたでしょうか。
次回は繰り上げ返済について、解説したいと思います。
(書き手 辻 秀易)
第1回住宅ローンの種類
第2回フラット35の解説
第3回フラット35Sの解説
第4回民間住宅ローン、公的住宅ローンとつなぎ融資
第5回金利の種類について解説
第6回金利各局面における有利不利、返済方法の解説
第7回繰り上げ返済、その必殺の効果〜期間短縮型〜