2016.07.11
シリーズ 住宅ローンの基礎知識 その3

岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
第3回 フラット35S
2020.12.12改定
目次
- はじめに
- フラット35Sの特徴
- フラット35S利用の条件
- フラット35S利用時の注意点
1.はじめに
前回、代表的な住宅ローンの解説としてフラット35を取り上げました。
今回は、フラット35の上位版とも言えるフラット35Sを解説していきたいと思います。
2.フラット35Sの特徴
フラット35Sは、フラット35の金利をさらに一定期間にわたり引き下げる制度です。
大きな特徴として
- フラット35の技術基準に加え、さらに高い技術基準を要求される。
- 当初5年間、フラット35の金利よりさらに0.3%引き下げる金利Bプランと、金利Bプランからさらに5年間延長(計10年間)で金利を0.3%引き下げる金利Aプランの2つがある。
- 年度ごとに予算額が計上されており、予算金額に達すると受付終了となる。
などの特徴があります。
以下、条件などを解説していきましょう。
3.フラット35S利用の条件
フラット35Sの利用条件は基本的にフラット35に準じますが、フラット35の技術基準に加え、下記の技術基準を満たしていることが求められます。
フラット35S[金利Bプラン] 5年間-0.3%
- 省エネルギー性能
断熱等性能等級4に適合かつ、一次エネルギー消費等級4以上に適合する住宅(2021年1月から) - 耐震性能
耐震等級2以上に適合する住宅又は免震住宅 - バリアフリー性能
高齢者等配慮対策等級3以上に適合する住宅 - 耐久性、可変性
劣化対策等級3及び、維持管理対策等級2以上に適合する住宅
以上の内、一つ以上の基準を満たすこと。
フラット35S[金利Aプラン] 10年間-0.3%
- 省エネルギー性能
「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく、「住宅事業建築主の判断の基準」に適合する住宅、認定低炭素住宅、又は一次エネルギー消費量等級5に適合する住宅 - 耐震性能
耐震等級3に適合する住宅 - バリアフリー性能
高齢者等配慮対策等級4又は5に適合する住宅 - 耐久性、可変性
長期優良住宅
以上の内、一つ以上の基準を満たすこと。
4.フラット35S利用時の注意点
以上のように、金利がさらに有利となる反面、高い技術的基準をクリアする必要があり、それに伴う住宅価格の上昇は避けられません。ただし、それぞれの技術基準のうち、一つを満たせば利用できますから、ご自身が住宅に求める性能のうち、これだけは譲れないという部分に絞って性能をアップしていくのが良いかもしれませんね。
ツジデザインでも断熱等性能等級4は標準でクリアしていますので、フラット35Sのご利用を検討されている場合はご相談ください。もちろん金利Aプランも対応できます。
フラット35Sについての解説、いかがでしたでしょうか。次回は民間住宅ローンについて、解説したいと思います。
(書き手 辻 秀易)
第1回住宅ローンの種類
第2回フラット35の解説
第3回フラット35Sの解説
第4回民間住宅ローン、公的住宅ローンとつなぎ融資
第5回金利の種類について解説
第6回金利各局面における有利不利、返済方法の解説
第7回繰り上げ返済、その必殺の効果〜期間短縮型〜