2026.02.05
西洋の敗北 / エマニュエル・トッド著

岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。
所長が読んだ本をご紹介。自然科学などのノンフィクションが中心。
『西洋の敗北』/ エマニュエル・トッド著
フランスの統計、人類学者の著者が、西洋とその他の世界で今何が起こっているかを解き明かす。
まず、前提としてトッドは人類学と地政学、統計の視点を組み合わせて現在の世界を読み解いている。
「敗北」は単純な戦争での勝ち負けを示すものではないことに留意。
2022年から始まった、ロシアのウクライナ侵攻からすでに4年。
西側のあらゆる経済制裁もロシアを止められず、モスクワでは未だほぼ以前とかわらない生活レベルが保てている。なぜか。
西洋は、すでに宗教ゼロ状態に陥っており、個人主義の台頭とともに倫理観ゼロ社会とも言える状態となっている。富の集中による中流階級の崩壊とともに経済の空洞化も進み、みせかけのGDPに絡め取られている。
反面、ロシアは比較的安定した社会を維持できている。個人主義の行き過ぎた「西洋」以外の家族集団主義の残るその他の国が、イデオロギーの近いロシアを支えている。
日本についても、西洋の一員でありながら、宗教ゼロ状態ではない、宗教と慣習が溶け込んだ特殊な形態と解説。
世界は西洋だけではない。
その当たり前を、私たちはあまりに長く忘れていたのかもしれない。
ロシアと聞いてもウォッカとマトリョーシカしか思い浮かばないけれど、世界はマトリョーシカみたいに、幾重にも重なる複雑さでできているんだなと気づきたいあなたへの一冊。















