株式会社ツジデザイン

辻のおはなしTsuji’s Blog

辻のおはなしでは、ツジデザインのプロジェクトの進捗や僕達の価値観にまつわるさまざまなコト、
モノについてとりとめなく書いていく小文です。
また、一般の方にわかりにくい用語の解説や家づくりのあれこれなどの知識も、
わかりやすくまとめていきます。

2017.02.22

シリーズ 住宅ローンの基礎知識 その7

お金のおはなし

岐阜の建築設計事務所ツジデザインの辻です。

第7回 繰り上げ返済、その必殺の効果〜期間短縮型〜

目次

  1. はじめに
  2. 利息の軽減効果
  3. 繰上げ返済の条件
  4. 期間短縮型の具体例
  5. 一部繰上げ返済の注意点

1.はじめに

さて、今回は「繰り上げ返済」について解説します。
繰り上げ返済には、通常の返済期日前に借入金を全額返済する「全額繰り上げ返済」と、借入残高の一部を返済する「一部繰り上げ返済」の二種類があります。

また、一部繰り上げ返済には、「期間短縮型」と「返済額軽減型」のふたつがあります。
今回は、このうち期間短縮型について解説していきます。

一部繰り上げ返済(期間短縮型)は、繰り上げ返済する金額をすべて元金に割当てます。
元金に割りあてたことにより、返済期間を短縮します。

2.利息の軽減効果

期間短縮型で一部繰り上げ返済した場合、「すべて元金に割り当てる」部分が重要で、すなわち期間が短縮された分の利息がそのまま軽減されるということでもあります。
下記のグラフを御覧ください。

住宅ローン

このように、一般的な元利均等返済方式の住宅ローンの場合、返済開始当初は返済している住宅ローンの大半が「利息」に割当られています。
初期のタイミングで、一部繰り上げ返済が出来ると、その分利息の軽減効果は高くなります。
また、金利が高いほど、そして返済期間が長いほど利息の軽減効果は高くなります。

3.繰上げ返済の条件

繰上げ返済については、各金融機関によって条件がまちまちです。
例えばフラット35などでは一部繰上げ返済の最低金額を100万円以上としていますが、民間住宅ローンでは、1万円から可能な場合など、さまざまです。
また、繰上げ返済手数料も見逃せません。変動金利期間中より固定金利期間中のほうが高い場合、数千円から数万円の場合、ある程度まとまった金額以上の場合は手数料無料な場合など、様々ですから、各金融機関で確認しておくことが大切です。

4.期間短縮型の具体的効果

では、具体的に期間短縮型で一部繰り上げ返済した場合の効果を見てみましょう。
例として、住宅ローンアドバイザー講習テキストから抜粋してみます。
借入額:3000万円
金利:3.0%
返済期間:30年(360回 元利均等返済)
上記のパターンで、返済開始から一年後。12回目の決済と同時に約100万円を一部繰り上げ返済すると、どれくらい利息を軽減できるでしょう。
一般の方でも簡単に計算できるので、もし手許に住宅ローンを借りると金融機関から郵送されてくる、返済予定表があれば、それを見ながら実際に計算してみましょう。

住宅ローン2

返済予定表から現在の借入残高を確認します。12回目なので、¥29,373,658ですね。
そこから返済後の残高が、100万円以上減る近似の残高を探します。表を下にたどると31回目で¥28,342,754円となりますから、31-12で19回分の返済が短縮されたわけです。
この31回目と12回目の差額、¥1,030,904を一部繰上げ返済します。

この間の本来19回にわけて返済するはずだった額は、¥126,481✕19回=¥2,403,139です。
ここから一部繰上げ返済した、¥1,030,904を引いてください。
¥2,403,139-¥1,030,904=¥1,372,235
この¥1,372,235が本来支払うはずだった、「利息」分となります。

いかがでしょう。一部繰り上げ返済の絶大な効果、ご理解いただけましたでしょうか。
住宅ローン返済開始から早いうちに、一部繰上げ返済をすることで、これほどの軽減効果が生まれます。

5.一部繰上げ返済の注意点

ここまで解説してきたように、一部繰り上げ返済は絶大な威力を発揮します。
「よし!それならどんどん繰上げ返済していこう!」と思いますよね?

ですが、ちょっと待ってください。
そもそも、借入直後から大きな金額を一部繰上げ返済することで、手許の現金が目減りすることも忘れないでください。
思いもよらぬ出費があった時、生活に支障をきたさない程度にはお手元に現金を確保しておくのも忘れずに。
また、一部繰り上げ返済はとても有効ですが、それ以上に借入額を少なくするほうが有効です。住宅ローンを借りるその時まで、住宅資金の頭金を貯めておき借入を少なくできるよう計画立てていきましょう。

 

次回は一部繰り上げ返済(返済額軽減型)について、解説したいと思います。

(書き手 辻 秀易)

第1回住宅ローンの種類
第2回フラット35の解説
第3回フラット35Sの解説
第4回民間住宅ローン、公的住宅ローンとつなぎ融資
第5回金利の種類について解説
第6回金利各局面における有利不利、返済方法の解説
第7回繰り上げ返済、その必殺の効果〜期間短縮型〜

 

岐阜の建築設計事務所、株式会社ツジデザインは住宅を中心に、建築の設計監理を行っています。
新築、リノベーション、テナントに限らずお気軽にご相談ください。
愛知、岐阜、三重を中心に、全国どちらでも対応可能です。
フラット35S、長期優良住宅、ZEHなども。

愛知、岐阜、三重で建築設計監理 ツジデザイン一級建築士事務所

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