2019.02.08
ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた
約四万年前ユーラシア大陸で現生人類がオオカミを家畜化したことにより、ネアンデルタール人を絶滅に追いやる一端を担ったのではないか。という本書。
著者本人も認めている通り、四万年前はすでにネアンデルタール人は遺伝的多様性を失っており絶滅に向かっていた。
オオカミイヌの最古の化石も同時期。となると、この説を補強する必要があるだろう。
海外ノンフィクションのさだめで訳書が出る頃にはすでに新しい知見が起きていることも多く、本書もその例外からは免れない。
イスラエルでは18万年前の現生人類化石が発見され、東アジアでも現生人類とネアンデルタール人の混血が発見されたことで、ユーラシア大陸への現生人類到達は従来説より大幅に繰り上がりそうだ。
今後、オオカミの家畜化の時期なども再発見があるだろう。
また、デニソワ人などネアンデルタール人以外の人類には一切触れられていないのも気になった。こちらも近年、ネアンデルタール人とデニソワ人の混血児化石が発見され話題になったし、もっと雑然と混じり合っていったのではないかと妄想するのも楽しい。