ツジデザイン一級建築士事務所

辻のおはなしTsuji’s Blog

辻のおはなしでは、ツジデザインのプロジェクトの進捗や僕達の価値観にまつわるさまざまなコト、
モノについてとりとめなく書いていく小文です。
また、一般の方にわかりにくい用語の解説や家づくりのあれこれなどの知識も、
わかりやすくまとめていきます。

2018.12.31

本のこととか2018

映画とか,本とか

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2018年皆様それぞれにどういった年でしたか?
本も映画もその人の人生を彩る一葉、今年はどんな本に出会えたでしょうか。
趣味全開で参考にはならないと思いますが、今年読んだ本や映像などで印象深かったものをまとめてみました。
昨年以前、2017年のまとめ2016年のまとめはこちらです。

■建築

子育てしながら建築を仕事にする   編/成瀬友梨

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ええ、もう子育てしながら建築を仕事にしていますとも。
アトリエ事務所、ゼネコン、大手組織事務所などなど、子育てしながら建築を仕事にする第一人者たちにインタビューしている本書。
とかくブラック化しがちな建築業界で、クライアントと打ち合わせを進め現場監理をし、学校で教え、家では父や母である彼らの働き方はどうなんだろうか。スター建築家のような彼らも僕たちと同じように悩み、ドタバタに翻弄されながらなんとか子育てと仕事を両立しようと考えているのが伝わってくる。
結局、一日の時間は同じだから、効率化するか、やらないことを増やすかの二択にはなるのだけど。
僕も来年は、やらないことを増やしていこう…。

■食

戦争がつくった現代の食卓-軍と加工食品の知られざる関係 /アナスタシア・マークス・デ・サルセド
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著者はフードライターであり母親でもある。彼女は子供に安全なものを食べさせたいがために、スーパーマーケットに溢れる加工食品がいかに危険かを知らせようと調べ始める。
調べ始めてわかったのは、自分の手作りの食事よりも清潔で栄養価に優れた加工食品の数々。
食品を包むラップ、フリーズドライ、レトルトパウチetcどれもが軍が研究費をつぎ込んで開発した食品保存技術。
古代ギリシア時代からWWIまでほとんど進歩のなかった保存食である乾燥肉とパン、ワインが、WW2終戦からベトナム戦争以降一気に進化していく。食品の腐敗や劣化の過程を科学的に解明し、技術者がひとつひとつつぶしていく熱い展開は小説が書けそうなほど。
まぁ論調としては終始、加工食品は軍隊の技術だよ、あぶないよということなんだけど、読めば読むほど清潔で栄養

価が高い加工食品が食べたくなってくる迷著。

 

■エッセイ

出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと    /花田菜々子
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ヴィレッジヴァンガードで店長をしていた女性が、パートナーとの別れを機に出会い系サイトに登録。タイトルは出会いサイトとなっているが、どうも自己啓発系のSNSのようだ。
そこで出会った人々の話を聞き、その人に会った本をオススメするおかしな活動を始める。はじめこそ、下心丸出しの男しか寄ってこなかった活動がいつしか評判になり、僕も私もと次々に繋がりだす。
これは「強み」の本だ。人はなにか好きな分野がある時、好きすぎていかに自分がその分野について強いか正しく認識できない場合がある。まれにその「強み」は人生において武器になることがあるのだ。
巻末には、おすすめした本の一覧も掲載されており、どれも面白そう。僕も何冊か読んで見たいと思う。

■社会
AI vs. 教科書が読めない子どもたち /新井紀子

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昨今、AIはシンギュラリティを迎え人類の知能を超えると警鐘をならす論もあるが、著者は日本のAI研究リーダーとしてそんな未来は少なくとも当面は来ないと断言する。それは計算リソースの不足でもビッグデータの不足でもない、数学的限界に原因があると解説する。
これについては、論もあるかもしれないが、無駄に不安を煽るシンギュラリティ論者よりも理路整然として納得がいく。

著者はAIが東大試験を突破することを目的に作られた東ロボくんプロジェクトのリーダー。
2011年から2016年まで、AIの基礎研究を統括する目的でビッグデータ解析を用いて成績向上のため研究を行った。
結果としては偏差値57.8をピークとして東大には到底及ばず、統計的手法での限界を確認してプロジェクトは終了。
結局AIは前後の文脈から「山口(地名)と広島(地名)に行った」と「山口(人名)と広島(地名)に行った」のような差を理解することができなかったのだ。
ところが、著者ははたと気がつく。「偏差値57.8のAIが日本語の文章を読めていないということは、人間の生徒は本当に文章が読めているのか?」と。
中高生を対象に行った調査の結果は散々で、ごく簡単な文章読解のできない生徒が多数だった。
本書ではなぜこれほど多くの中高生が文章を読めていないのか、またそうならないための方法については今後の課題として結論されていない。
読書量や塾へ通っているかは結果に相関がなかったというから、別のファクターがあるようだ。
なんとなく、インプット量ではなくアウトプット量の差ではないかなと想像はするが、今後研究が続けばわかるかも。

 

■旅
極夜行 /角幡唯介

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極夜の北極圏を単独+犬で冒険する冒険家、角幡唯介のノンフィクション。
数ヶ月間太陽の登らない真っ暗な北極圏を、GPSを使わず天測で位置を割り出し、夏にデポした食料や燃料を回収しながら進んでいくのだ。
ところが、冒険ははなからトラブル続き。ブリザードで天測に必要な六分儀を紛失し、やっとのおもいでたどり着いたデポはシロクマに荒らされている。
足りない食料を狩猟で補い進むも、二箇所目のデポもシロクマに荒らされていたことで断念、引き返す。
真っ暗闇の中をただひたすら犬のウリミヤックと歩く。その中で都市で暮らすうちに忘れてしまった原初の感覚を取り戻せた気がするという。
NHKでの映像も見たが、ほぼひたすらヘッドランプの光しか写らない旅は異様だ。
北極圏、行ってみたい。

■南極

僕が小学生の頃。1982年に先代しらせが就航、翌年1983年に映画南極物語が公開され、南極ブームが到来。夏休みの工作にしらせの木製模型を作った記憶もあります。
どうもその頃からずっと南極に対して漠然とした憧れを持ち続け、気がつけば南極関連の本や映像を多く見てきました。毎年読んだ本をまとめるときも、一冊は南極関連本を選んでご紹介してきましたが、今年はこれ。映像です。

テレビ用のアニメーション、宇宙よりも遠い場所

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南極観測隊員として調査中行方不明になった母親を探すため、女子高生4人が南極をめざす。という荒唐無稽なストーリー。
南極の描写としては、しらせ(二代目)の砕氷行動シーン、昭和基地の描写、内陸旅行へのSM100雪上車によるキャラバン編成や、日本が長年調査を継続している南極の雪量収支を調べるための雪尺など、国立極地研究所や自衛隊も協力していることもあってかなり子細に描写されていて納得。

母を探す大義名分のある主人公報瀬以外の3人もそれぞれの想いで南極を目指すが、そのこころの内をさらけ出していくドラマも見事でした。
終盤、母が行方を断った内陸基地で報瀬の写真が貼られたPCを見つけ、ようやく母がいないことを事実と受け止めることができるシーンの演出はここ数年で抜群の出来だったのでは。
何かを成し遂げたいけれど一歩を踏み出せない、何をすればよいのかわからない、そんな思春期にとびきりのエールを送るような物語でした。そして子どもたちがみっともなくそれでもあがいて何かを成し遂げる姿に涙するようになったのは、年齢かはたまた親になったからか。(齢ですね。

 

というわけで、今年もあいかわらず脈絡のないラインナップのご紹介。気になった本があったら手にとってみてくださいね!
来年はどんな本に出会えるかな。
それでは、みなさま良いお年を!

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映画とか,本とか

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